『後悔のないお別れなんて、あるのでしょうか。
- MIKI ASAHI
- 1 日前
- 読了時間: 6分
後悔のないお別れなんて、あるのでしょうか。
「あのとき、もっとこうしてあげればよかった」
ぶーちゃんが旅立ってから、その言葉が何度も頭に浮かびます。
ぶーちゃんは、我が家で16年間一緒に暮らしたトイプードルです。
本当の名前は「ウェーブ」。
でも、気に入らないことがあると「ブーブー」って鼻を鳴らすのが可愛くて、
いつの間にか家族みんな「ぶーちゃん」と呼ぶようになっていました。

先住犬のイチくんを見送ったとき、私はたくさんの後悔を残しました。
急に具合が悪くなったその日、私も夫も県外へ出かけていて、
すぐにそばにいてあげることができませんでした。
そのまま緊急手術、入院となり、イチくんは病院でひとり、
最期の時間を迎えました。
もう少し一緒にいる時間がほしかった。
家に連れて帰ってあげたかった。
最期はそばにいてあげたかった。
そんな思いが、ずっと心に残っていました。
だから、ぶーちゃんのときには、
できるだけ家で一緒に過ごそう。
できるだけそばにいよう。
最期は腕の中で。
そんなふうに決めていました。
ぶーちゃんが体調を崩してから、約7か月。
何度も大きな波はありましたが、そのたびに一緒に越えてきました。
食べられそうなものを探したり、好きなフルーツをあげたり。
家で介護する時間もたくさんもらいました。
そして最期は、私たちの腕の中で見送ることができました。
振り返ってみれば、イチくんのときに「ああしてあげたかった」と思っていたことを、
ぶーちゃんには、ほとんどしてあげることができたのだと思います。
あんなに願っていたお別れのかたちだったはずなのに。
それでも私は、
「あのとき、もっとこうしてあげればよかった」と、何度も思いました。
ぶーちゃんを見送ったあと、私はお風呂に入ることができませんでした。
最後に抱っこした腕や手に、まだぶーちゃんの感触が残っている気がしたのです。
お風呂に入ったら、その感触まで洗い流してしまうようで、それがどうしても嫌でした。
その日は結局、お風呂に入ることができませんでした。
心理学では、大切な存在を失ったときに起こる心の反応を「グリーフ(悲嘆)」と呼びます。
悲しみだけではなく、怒りや罪悪感、「もっとできたはず」という後悔が出てくることもあります。
それも、大切な存在を失ったときに起こる自然な心の動きです。
「あのとき、こうしていれば」
「もっといい薬を飲ませていれば」
「もっと早く気づいていれば」
そう考えながら、
「私は十分にしてあげられなかった」
「私がもっとちゃんとしていれば」
そんな思いが、次から次へとあふれてきました。
お盆に息子たちが帰省したとき、ぶーちゃんの最期の話をしました。
「もっといい薬を飲ませてあげたかった」
「もう少し痛みを和らげてあげられたんじゃないかと思う」
そんな話をする私に、息子は、
「ぶーちゃん、最後にお母さんと一緒に寝られて嬉しかったと思うよ」
「ぶーちゃんも、お母さんも、みんな本当によく頑張ったんだと思うよ」
と言いました。
私は、できなかったことばかりを見ていました。
自分を責め、夫に対しても、
「もっとやってくれたらよかったのに」
と思ったり、それをぶつけたこともありました。
でも息子たちは、違うものを見ていました。
最後まで一緒にいられたこと。
みんなで頑張ったこと。
ぶーちゃんも嬉しかったんじゃないか、ということ。
同じぶーちゃんの最期なのに、こんなにも見えているものが違うんだなと思いました。
そして、ふと思ったんです。
私は、こんなにも大切に愛したぶーちゃんを、自分を責めるために使っていたんだな、と。
それは、もうやめようと思いました。
自分を責めるのを少しやめてみると、そこに残ったのは、とてもシンプルな気持ちでした。
「もっと一緒にいたかった」
あと1回でいいから、抱っこしたかった。
ううん、もう3回でも10回でも、何回だって抱っこしたかった。
まだまだずっと一緒にいたかった。
今はただ、「ああ、こんな気持ちがあったんだね」って、
自分の気持ちに気づいてあげることなのかなと思っています。
何か答えを出そうとしたり、そこに意味を見つけようとしたりしなくてもいい。
ただ、今はそんなふうに思っています。
もし今、この文章を読んでくださっているあなたにも、
「あのとき、もっとこうしてあげればよかった」
「ほかにできることがあったんじゃないか」
そんなふうに悔やんでいるお別れがあるのなら。
その思いが出てきたとき、「あ、私、自分を責めているのかもしれない」と、まずは気づいてみてほしいのです。
気づいたら、そこで少し立ち止まってみる。
そして、できなかったことだけではなく、
そのときの自分がしてきたことにも、少し目を向けてみる。
あなたにもきっと、そのときのあなたなりに、
大切な人のためにしてきたことがあると思うのです。
それから、
「十分やったんだよ。ありがとう」
そんな言葉も、自分にかけてあげてほしいなと思います。
大切に愛したその人やその存在を、
自分を責め、自分を攻撃するために使わない。
私もまだ、それを意識している途中です。
どうしても自分を責めるところへ戻ってしまうときには、
誰かに気持ちを話してみるのもいいかもしれません。
よかったら、カウンセリングもそんなふうに使ってくださいね。
私もまだ、涙も出ます。
それでも、ぶーちゃんは私の心の中に“居場所を変えて”、
これからも一緒に生きていくのだと思います。
また朝が来て、今日を大事に生きること。
それが、ぶーちゃんと過ごした16年を、
これからも大切にし続けることなのかもって、
今はそう思っています。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました🌿

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2024年 電話カウンセリング部門 全国第5位
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